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ソコカラナニガミエル?
オモウ
イビチャ・オシム(2006.9.10)
本来フットボールは自由度の高いスボーツだと言われる。
バスケットボールや野球、バレーボールと違い、一度試合開始の笛が鳴ればタイムアウトは許されない。
ピッチにいる選手が個々の場面で判断し、コントロールする。
一から十までゲームの主役はプレイヤーなのだと。

しかし 現代フットボールは監督が主役の時代でもある。
膨大なデータをまとめ、高度な戦術と判断力、カリスマ性をかねそなえた監督が作りあげたチームが現代サッカーをリードしている。

モウリーニョ(チェルシー)、ライカールト(バルセロナ)、カペッロ(レアル・マドリッド)、ベンゲル(アーセナル)、フェリペ(ポルトガル代表)、ヒディング(オーストラリア代表)、、、。

ジーコ・ジャパンなどという今では何かの冗談としか思えなかったドイツワールドカップの惨劇から2カ月あまり、日本のサッカー界とマスコミ、スポーツジャーナリズムは ドイツワールドカップの痕跡を消しさろうとしている。
終わったことをいつまでもぐたぐたと考えても仕方がないということだろうか。
そう、近頃のこの国のメディアと国民は不の歴史を忘れることに関して、並々ならぬ力を発揮する国になってしまったのだ。

旧ユーゴスラビア出身で、ボスニアヘルツェゴビナ紛争の戦火を生き抜いてきた眼光鋭い新日本代表監督、イビチャ・オシムは、そのような日本のあまっちょろい風潮をすでに見抜ききっているようでもある。

オシム監督就任後の最初のコメントはフットボールの戦術論以前の問題、つまり代表チームを取り巻くメディアやファンの過剰な期待に対する戒めだった。

「君達の国のフットボールのレベルは低い。まずそのことを認識しなさい」と。

前日本代表監督ジーコの最大の罪と勘違いは、下手をすれば日本はブラジルにだってイタリア、フランスにだって対等に闘えるチームなのだという誤解を日本中に与えてしまったことにある。
中田・高原・小野・稲本・川口。ジーコジャパンの中心だった選手達はヨーロッパのクラブチームに所属こそしていたが、レギュラーはおろか、ベンチにも入れない選手ばかりだったのだ。
選手は気の毒だが、冷静で正確なアナウンスを怠ったジーコとサッカー協会、メディアの責任は重い。

そのような日本の内向きで呑気な風潮に、オシムは気づいている。
記者の安易な質問内容をバッサリと切り捨てていくオシムのアイロニックな対応が、メディアが本来持つべき緊張感を思い出させることに成功するかもしれない。

イビチャ・オシムは世界のおそらく何本かの指に数えられる監督の一人だろう。
間違いなく歴代日本代表監督の中では実績・知名度・実力は群を抜いている。
油断は禁物だが、オシムの口から発せられる日本代表に対する厳しい認識は、日本のサッカー界にこれまでになかった緊張感を芽生えさせることが出来るかもしれない。

オシムは、どのようなヴィジョンを持って日本代表を率いるのだろうか?
日本代表はいつの日か、あの忘れがたきイタリア・ワールドカップでのユーゴスラビア代表のような魅力的なチームに生まれ変わるのだろうか?
松井大輔はストイコビッチになれるだろうか?
過去4年間、ひたすら退屈でしかなかった日本代表のプレイを見せられてきた反動もあるかも知れない。
しかし、今は動き始めたオシムの作るチームが世界をあっと驚かせる日を夢見てその闘いぶりに期待し注目したい。

オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える
木村 元彦 (2005/12)
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